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詳しい治療方法の紹介


マツダ病院循環器内科では、患者さんに安心して治療を受けていただく診療体制を整えています。
治療方法の一部をご紹介いたします。

経静脈的僧帽弁切開術(PTMC)

左心室の入り口にある僧帽弁が、支持組織の肥厚、癒着等により弁口が狭くなり十分な量の血液が左室に流入できなくなり左房の圧上昇をきたす状態を僧帽弁狭窄症といいます。
僧帽弁が狭くなった患者さんに対して、手術をせずにカテーテルを用いて僧帽弁狭窄を解除する治療方法(PTMC:Percutaneous Transluminal Mitral Commisurotomy)です。開心術に比べて侵襲度が少ないことが特徴ですが、僧帽弁逆流の増加、再狭窄の問題もあり、場合によっては血管形成術が適していないこともあります。

心臓CT

当院のCT装置は、SIEMENS社の多列スライスCTで、同時に128列のスライス撮像が可能です。 内服薬や注射薬で脈拍数を下げて、体重に合わせて造影剤を50-80ml点滴しながら撮影し、冠動脈の形態を詳細に画像化します。検査時間は約20分ですが、内服薬の関係で検査1時間前に来院してもらっています。不整脈、造影剤アレルギー、腎不全の患者さんは施行できないことがあるため、診察医が適応を判断し安全に務めています。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群の診療を循環器内科、呼吸器内科、耳鼻咽喉科、口腔外科など複数の科との連携で行っています。夜間よく目が覚める、昼間に眠たいなどの自覚症状や家族からいびきがひどいなどの指摘で医療機関を受診するケースの他に、高血圧、不整脈、急性心筋梗塞、心不全を発症した患者さんを調べると重度の睡眠時無呼吸症候群を合併していることが多々あります。合併した循環器疾患と一緒に睡眠時無呼吸を治療することが必要な症例も多く、循環器内科を中心に治療を行います。

睡眠呼吸障害と心血管疾患の合併頻度

簡易型ポリソムノグラフィー

外来で行うことができる睡眠時無呼吸症候群の簡易検査です。就寝中の①腹部の呼吸運動、②血中酸素飽和度、③鼻呼吸の流量、④睡眠姿勢、⑤いびき、⑥脈拍数などをモニターすることにより、睡眠時無呼吸のタイプや重症度を診断することができます。カバンに入るような機器を自宅に持ち帰って、自分で装着し、翌日病院に返却します。結果は翌日以降に説明可能です。

パルスオキシメータ+気流センサ+呼吸努力+体位センサ+ECG(LS-300 フクダ電子)

終夜睡眠ポリソムノグラフィー

1泊入院で施行する睡眠時無呼吸症候群を診断する検査です。脳波や筋電図、呼吸運動、いびき、呼吸流量、血中酸素飽和度など睡眠中に多くのデータをモニターして睡眠障害を詳細に評価します。閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者さんにCPAP療法を行うためには、この終夜睡眠ポリソムノグラフィーで無呼吸低呼吸指数が20以上でないと保険適応が認められません。また、CPAPを装着した状態でこの検査を行って、CPAP療法の治療条件を決定することもあります。3割負担の患者さんで1泊入院の自己負担額は3万円くらいになります。

CPAP療法

無呼吸低呼吸指数が20以上の中等度から重度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者さんに行う治療方法です。睡眠時無呼吸発作のため、繰り返される低酸素状態による睡眠障害に対して、自宅で鼻に装着したマスクを介して就寝中に陽圧呼吸療法を行うことにより、睡眠時無呼吸発作を抑えて良質な睡眠を確保します。睡眠障害の症状の改善とともに、高血圧や不整脈、心不全などの合併症の治療効果を高めることが期待できます。原則、毎月外来受診をする必要があり、医療費も3割負担の患者さんで月々 5千円くらいかかります。

ASV療法

重症心不全患者さんは、就寝中に自発呼吸が徐々に遅くなり、ついに呼吸が止まり、一時低酸素状態になったのち、また徐々に自発呼吸が大きくなる周期を繰り返す、いわゆるチェーン・ストークス呼吸がみられます。就寝中、低酸素状態が繰り返し惹き起こされるため、急激な脈拍や血圧の変動、交換神経の緊張が生じて心不全治療の妨げになっています。ASV療法は、小型の器械を使い鼻に装着したマスクを介した自宅で就寝中に陽圧呼吸を行い、チェーン・ストークス呼吸を抑えて心不全を治療します。重症の心不全患者さんの病態の改善に非常に有用と考えられています。

在宅酸素療法(HOT)

重症心不全患者さんのチェーン・ストークス呼吸に対して、いち早く在宅酸素療法(HOT)が行われてきました。有用性も報告されており、ASV療法がうまく使えない患者さんや、COPDを合併している患者さんに使用しています。

心臓核医学検査

主に虚血性心疾患、またはその疑いがある患者さんに行います。運動時と安静時のそれぞれの心筋に潅流される血液の分布をアイソトープを用いて画像化する検査です。 冠動脈狭窄や閉塞で惹き起こされる心筋虚血や心筋梗塞の範囲、程度を評価します。当院ではテクネシウム製剤のアイソトープを用いて全検査を午前中に行う短時間プロトコールが特徴です。6分間の薬物負荷が基本ですが、可能な限り低容量の運動負荷として軽く自転車を漕いで、画像の改善に努めています。検査結果は、適切なカテーテル治療の適応の判断に使われます。また結果が正常であれば、心臓疾患で死亡したり心筋梗塞を発症するリスクが非常に低いグループに属すると判断可能で、予後評価に基づいた患者管理に役立ちます。

経皮的心肺補助装置(PCPS)

激症心筋炎や急性広範囲心筋梗塞など重症の急性心不全、不整脈の救命処置のために緊急的カテーテル留置を行って心肺補助装置を装着します。臨床検査技師、臨床工学技士、専門看護師も含めたチーム医療により初めて実現する高度医療で当院においても年間1-2名の重症患者さんが極めて重篤な状態から回復し、社会復帰されています。

大動脈内バルーンパンピング(IABP)

PCPSと同様、重症の急性心不全、不整脈の救命処置のために緊急的カテーテル留置を介して行います。危険性の高い経皮的冠動脈ステント留置術や重症の急性心筋梗塞患者にも使用します。

心筋生検

急性心筋炎や診断困難な心筋症などの病理診断のため、血管造影室で右内頚静脈から右心室にカテーテルを挿入して、胃カメラのように心筋組織の一部を採取します。採取した組織は大学病院などの研究機関に送り、最新の免疫染色も含めた専門医による診断をうけます。 後日研究機関の専門医も参加したカンファレンスを行っています。

急性心筋梗塞

冠動脈(心臓の栄養血管)が閉塞するため起こる恐ろしい病気です。
死亡率は35~50%に達します。また死亡例の60~70%は、発症後1~2時間以内の院外での死亡です。重篤な疾患なので、迅速でかつ正確な診断・治療が必要となります。
心筋梗塞における胸痛の特徴は、前胸部の比較的広い範囲に激しい圧迫感、締めつけ感、灼熱感がみられ、強い不快感があります。場合によっては胸痛以外の症状も見られます。
また、特徴的な心電図や採血データ、心エコーで心臓の壁の動きが低下していることなどから診断をします。急性期の治療は、速やかに心臓カテーテル治療をおこない、心筋が壊死しないように少しでも早く冠動脈に血流を再潅流させて、心臓の動きや虚血を改善させることと、早期合併症の予防と合併症出現時の迅速な対応が重要です。

心不全

心臓は、臓器や組織が必要とする十分量の血液を送り出すポンプとしての役割を果たしています。心不全では、いろいろな原因により心臓ポンプの機能が低下するため、血液循環が維持できなくなり、臓器や組織が必要としている血液量を十分に供給できない状態となります。
風邪、過労、ストレスが引き金になって急性心不全が起こることがよくあります。心筋梗塞や心臓弁膜症などあらゆる心臓病はもちろん、例えば高血圧で長年心臓に負担がかかっている場合などでも、次第にその働きが落ち慢性心不全の原因となります。
原因に関係なく、共通した症状(たとえば呼吸困難、浮腫、乏尿、体重増加など)がみられます。急性心不全か、慢性心不全か、種類や程度によって治療法もさまざまです。

肺梗塞

肺動脈の塞栓で、肺への血液の流れが完全停止し、肺組織が壊死した状態です。脚または骨盤の静脈からの血栓の分離した断片によることが最多です。
多くは術後または病臥後に血栓症を起こした場合にみられますが、エコノミークラス症候群もこの疾患のひとつです。航空機などによる長期間の旅行中、じっと長時間座ったままでいると、足の静脈の血流がうっ滞し、静脈血栓が出来ることがあり、歩き始めたことをきっかけにこの血栓が血流に乗って肺に飛び、肺の血管に詰まって塞栓症をおこすのです。
治療は、抗凝固療法、血栓溶解療法、さらに血栓が飛ばないようにフィルターを挿入する方法などがあります。予防としては、術後の脱水予防、屈伸運動、弾性ストッキングの使用、またエコノミークラス症候群については十分な水分摂取、足の運動なども効果的です。

心エコー(心臓超音波検査)

数メガヘルツという超音波を心臓部に発信し、その反射波をモニタ画面に映し出して心臓をリアルタイムに画像上に描出する検査です。
この検査では心臓の動いている様子が2次元の画像として見えるため、心臓の大きさ、構造、あるいは各部の動き方など様々な情報を得ることが出来ます。
また超音波のドップラ-効果を利用することにより、心臓内の血液の流れ方、血流の速さ、方向などをカラー表示したり、波形としてとらえることが出来るため、弁の逆流や欠損孔の有無、血管内の血流、さらに心臓内各部の血圧を推定することが出来ます。
この検査は超音波を利用しているため、人体には全く害がなく、妊娠していても可能ですし、何度でも繰り返し行えるのも大きなメリットといえます。

トレッドミル運動負荷試験

「トレッドミル」というベルトコンベアーの上を歩行する運動負荷試験です。
負荷量が多く、主に狭心症など虚血性心疾患の判定や不整脈の出現観察に行われます。
また、心筋梗塞後の心臓リハビリテ-ションにも利用され、リハビリ用のプロトコールで実施されています。
検査中は心電図や血圧をモニターしながら行いますので、比較的安全に行える検査法です。

経食道心エコー

胃カメラと同じやり方で、経胸壁エコーとは反対方向、 心臓を後ろ側からみることができるのが経食道心エコー法です。胃カメラを飲むのと同程度の苦痛はありますが、食道はちょうど心臓のすぐ後ろに位置するので、 体表面からでは十分に観察することが難しい心房などの構造をみることができます。
例えば、脳梗塞の原因になる血栓が、心臓(特に、左心房の一部分である左心耳)の中に 無いかどうかの観察には必須の検査法です。
先天性心疾患、例えば心房中隔欠損症での穴の有無や、そのサイズなどを計測するのにも威力を発揮します。

冠動脈インターベンション(冠動脈ステント留置術)

冠動脈形成術は狭くなった冠動脈を風船で拡張して、心臓血流をよくして、狭心症や心筋梗塞を治療する内科的手術です。  
動脈形成術は 以前は風船のみで拡張する方法(POBA: Plain Old Balloon Angioplasty)が主流でしたが、ステントとよばれる金属性の筒で支える方法や、冠動脈プラークをを削り取るといった新しい方法が出現しました。現在では、それらをすべての手技を合わせて、冠動脈インターベンション(PCI : Percutaneous Coronary Intervention)と呼んでいます。

これらの治療に用いられるデバイスと呼ばれる医療器具は年々進化を遂げており、その治療方法も進化し、その治療成績も向上してきています。近年は治療後数ヶ月でまた狭くなる「再狭窄」を克服した、薬剤溶出性ステントが用いられるようになりました。
※ご覧になるにはWindows Media Plyerが必要です。
治療器具はすべて、カテーテルの中を通して冠動脈内に到達します。手技を簡単に説明すると、まず、カテーテルを冠動脈の入り口に留置します。続いて非常に細く、先端の柔らかいガイドワイヤーを狭窄の末梢まで進めます。さらに狭窄部分に風船や、ステントなどのディバイスを、ガイドワイヤー上をモノレールのようにして狭窄部まで持っていき、病変を拡張します。 この形成術では冠動脈バイパス手術に比べて痛みが格段と少ないのが特徴です。

下肢動脈形成留置術

完全に詰まって、側副血行が不十分だと、足が腐って下肢を切断しなくてはいけなくなります。 下肢の動脈は動脈硬化を起こしやすく、狭窄や閉塞をすると、下肢のしびれ、疼痛、歩行時の痛み、チアノーゼが出現します。
このような末梢動脈の狭窄や、場合によっては閉塞に対し風船やステントを用いた末梢動脈形成術(PTA:Percutaneous Transluminal Angioplasty)で治療をすることがあります。
狭い血管を拡張する手技は冠動脈形成術よりも先に開発されましたが、現在は冠動脈形成術の治療器具が末梢用に改良されて用いられ、良い成績をあげています。この治療は、下肢動脈バイパス手術に比べて痛みが格段と少ないのが特徴です。
この治療は腎動脈狭窄など、下肢動脈以外にも行われます。

永久ペースメーカー植込み術

心臓の収縮が極端に遅くなると、心不全症状や意識消失(またはそれに近い状態)を呈することがあります。原因は洞機能(本来の心臓調律)が悪くなったり、房室機能(心房と心室の間にある電流の関所)が悪くなって、心室が収縮できなくなるために起こります。

多くの場合は薬で治療が出来ることはまれで、人工的に電気信号を心臓内に送って心臓が休まないようにしなくてはいけません。この手術を永久ペースメーカー植え込み術といいます。当院ではほとんどの症例に、心房と心室にそれぞれ1本ずつ電極を留置し、それぞれで収縮を感知し、刺激ができるDDD型のペースメーカーを留置しています。
図は、手術後の胸部X線写真。心房、心室電極と左上胸部のペースメーカー留置

頻脈性不整脈に対する電気ショック

急性の心房細動発作は脈が速く心不全症状を起こします。頻脈が続くと心不全が悪化し、改善しなくなることもあります。また、心房が収縮しないため(心室は早い頻度で収縮するので心停止ではない)、血液によどみができて、左心房内に血栓が形成されることがあります。時に動脈の流れに従って飛んで行き、先のほうで動脈を閉塞させろことがあります。特に首や脳の動脈で詰まってしまうと死亡することもあります。脳梗塞のなかには、その原因が心房細動からの塞栓であることが結構あります。
以上のように、心房細動をほっておくと良くないので治療が必要です。急性に起こった心房細動で、注射や内服で停止しない場合は、電気ショックをかけて直す治療が行なわれることがあります。これが電気的除細動です。短時間の間静脈麻酔で意識をなくしてから治療するので痛みはありません。この治療は発症が早ければ除細動率はかなり高いのですが、治療後に再発することはまれではありません。内服で薬剤を十分に効かせてから治療すると再発しにくいです。

持続緩除式血液濾過透析(CHDF)

入院中の重症患者で急性腎不全のため透析療法が必要となった場合、緊急的に透析療法を行うことがあります。一般的に聞く血液透析と比較して効率は低いものの持続して行うことにより、心臓の負担が少ない状態で除水や透析を行います。全身状態が回復しても腎不全が改善しない場合は、血管外科で内シャント形成術を施行し、慢性透析へ移行のための転院までサポートします。
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