感染症の本態を正しく理解して対処する
小児科部長 安井 耕三
コロナウイルス(いわゆるCOVID19)が単なる自然変異なのか人工的に産生されたウイルスなのかは現時点で判然としないが、地球上に発生してからすでに世界中で400万人の生命が奪われた。この数は第二次世界大戦での日本人死者数を上回っている。日本では「コロナ疲れ」という言葉のように感染予防に対するえん戦気分も目立つが、科学者(医師の多くは含まれない)の中では極めて有効なワクチンが想像以上に早急に製造され、思ったよりも早く年内あるいは次年度初頭には解決しそうだと考えている人が多い。まさに「明けない夜はない;止まない雨はない」と言えそうな現状まで回復する途上にあるといえる。
人類の歴史を紐解くと、新興感染症との戦いとその克服に長い年月をかけ尊い生命の損失が伴ってきたことが明らかである。多くの感染症はその時代時代で「世界の終わりの端緒」と捉えられている記載も多い。ペスト・コレラ·天然痘・スペイン風邪(インフルエンザ)・エイズ(HIVウイルス感染症)・エボラ出血熱などこれら感染症は 極めて致死率が高く、人類を死の恐怖へと落としこんだ感染症として知られている。エボラ出血熱など感染により多くの人が激烈な症状を呈する疾患では徹底した隔離が奏功するケースが多い。1990年前後に蔓延・流行したエイズは 不治の病として長らく数多くの人々の生命を奪ってきたが、現在では 感染予防法ならびに治療法が確立している。
ウイルス感染症において感染蔓延(とくに飛沫感染ウイルス)をもたらすのは無症候性感染者(キャリア)の存在であることは昔も今も変化がない。徹底した水際作戦(入国者の 定期間の隔離PCR検査の実施)がなされなければ、人数や費用をいくらかけても十分な監視にならないことは、新型インフルエンザとCOVID19の経験で明らかである。
新興感染症でも「ただの風邪」なら放っておいてもよいという考え方もあるが、インフルエンザもCOVID19も致死率の高い感染症に含まれ、普通の風邪ではない。
COVID19ワクチンがアメリカ ・ 西欧においてなぜこのように素早く製造可能であったかは興味深い。 すでにある程度の基礎データやワクチンの製造方法が確立していたと考えるほうが自然であろう。おそらくSARS/MARSなどのコロナウイルス族感染症の先行感染に対してmRNAワクチンの有用性が理解されており、研究が進んでいた可能性が高い。日本で使用されるワクチンは通常生ワクチンと不活化ワクチンに分類されるが、mRNAワクチンは全く概念の異なるワクチンであり、人間の体内で一定期間ウイルスの特定タンパクが産生され、高い確率で抗体が産生される仕組みになっている。mRNAの安定性など特殊な技術が求められ、基礎技術がない日本では同様のワクチン製造能力は極めて低い。体内でウイルス蛋白が産生される期間は 数日以内であり、その間は発熱などのワクチン副反応が出る可能性がある。
人類の歴史を紐解くと、新興感染症との戦いとその克服に長い年月をかけ尊い生命の損失が伴ってきたことが明らかである。多くの感染症はその時代時代で「世界の終わりの端緒」と捉えられている記載も多い。ペスト・コレラ·天然痘・スペイン風邪(インフルエンザ)・エイズ(HIVウイルス感染症)・エボラ出血熱などこれら感染症は 極めて致死率が高く、人類を死の恐怖へと落としこんだ感染症として知られている。エボラ出血熱など感染により多くの人が激烈な症状を呈する疾患では徹底した隔離が奏功するケースが多い。1990年前後に蔓延・流行したエイズは 不治の病として長らく数多くの人々の生命を奪ってきたが、現在では 感染予防法ならびに治療法が確立している。
ウイルス感染症において感染蔓延(とくに飛沫感染ウイルス)をもたらすのは無症候性感染者(キャリア)の存在であることは昔も今も変化がない。徹底した水際作戦(入国者の 定期間の隔離PCR検査の実施)がなされなければ、人数や費用をいくらかけても十分な監視にならないことは、新型インフルエンザとCOVID19の経験で明らかである。
新興感染症でも「ただの風邪」なら放っておいてもよいという考え方もあるが、インフルエンザもCOVID19も致死率の高い感染症に含まれ、普通の風邪ではない。
COVID19ワクチンがアメリカ ・ 西欧においてなぜこのように素早く製造可能であったかは興味深い。 すでにある程度の基礎データやワクチンの製造方法が確立していたと考えるほうが自然であろう。おそらくSARS/MARSなどのコロナウイルス族感染症の先行感染に対してmRNAワクチンの有用性が理解されており、研究が進んでいた可能性が高い。日本で使用されるワクチンは通常生ワクチンと不活化ワクチンに分類されるが、mRNAワクチンは全く概念の異なるワクチンであり、人間の体内で一定期間ウイルスの特定タンパクが産生され、高い確率で抗体が産生される仕組みになっている。mRNAの安定性など特殊な技術が求められ、基礎技術がない日本では同様のワクチン製造能力は極めて低い。体内でウイルス蛋白が産生される期間は 数日以内であり、その間は発熱などのワクチン副反応が出る可能性がある。
COVID19感染が死をもたらす本態は多くは敗血症性ショックと考えられる。敗血症という言葉は以前細菌感染症を指していたが、現在ではウイルス感染・ 真菌感染症も含め感染症がもたらした多臓器不全の病態を表している。複数の臓器の機能不全を示すが、本態は血管内皮・ 粘膜上皮 ・ 肺胞上皮の機能異常であり、血液凝固異常を伴っている。こうした病態は腎機能低下 ・ 呼吸機能低下・ 肝不全につながり、血管の破綻が肺出血・脳出血を惹起して死に至る機序が推測される。多臓器不全まで進展すると治癒はまず困難であり、治療薬のない現在ではまずワクチン接種による感染予防の必要性が強く提言される。