麻酔科    TEL 082-565-5605

麻酔はこわくない!手術は痛くない!

マツダ病院 麻酔科 大澤 恭浩

 患者さんから見た麻酔に関する多くの調査結果をまとめたイギリスの論文によると、麻酔に関する不安の内容は、麻酔から覚めない(12%〜54%)、手術中の覚醒(4.5%〜52%)、術後の痛み(5%〜39%)、術後の吐き気,嘔吐(5%〜23%)となっています。
 麻酔から覚めないという現象のおもな原因は、手術中に脳への酸素供給が低下し、脳細胞の障害が起こることです。血圧が極端に低下する、あるいは血圧が維持されていても、血液中の酸素の量が低下する、これを低酸素血症といいますが、このような危機的状況になる頻度は、日本麻酔科学会の調査によると、手術をする人の0.25%で、さらにこのような状況から死亡する頻度は0.07%です。このうち麻酔が原因で死亡する頻度は0.001%です。このように麻酔で事故の起こる頻度は,最初から極端に少なかったわけではありません。まずひとつの理由は1980年代にパルスオキシメーターという器械が普及したことです。この器械は、指にセンサーをつけることで、酸素を運搬するヘモグロビンと酸素と結合の度合いである酸素飽和度を,瞬時に連続的に測定できる優れた器械です。酸素飽和度が減って皮膚の色が黒くなる、これをチアノ−ゼといいますが、このように肉眼で酸素不足が確認できる状態の酸素飽和度は60%代です。正常値は97%くらいで、パルスオキシメーターでは100%から連続してその酸素飽和度が測定できます。そのために、肉眼でわからない少しの酸素不足の状態を早期に発見できます。この器械の普及により、手術中の心停止の発生頻度が大きく低下しました。もう一つの理由は呼吸の状態を把握する二酸化炭素を測定する器械が普及したことです。生物は大気から酸素を吸収し、からだの中の炭素を燃焼し、二酸化炭素を排出します。これを呼吸といいます。生物が生きているということはこの呼吸を続けているということです。呼吸に異常があるということは、死につながります。手術中は常に息の中の二酸化炭素を測定し、呼吸に異常が無いか確認しながら、麻酔を行っています。
 次に頻度の多い不安である手術中に目がさめないかという点ですが、これも器械の進歩により解決されてきました。当院では2004年より、BISという器械を導入しています。これは脳波を測定し、それを解析して眠りの深さを数値であらわす器械です。その数値を観ながら薬の投与速度を調節し、適度な鎮静度を維持します。そのため手術中に覚醒することもなく、薬の過量投与もないので、手術終了とともに速やかに覚醒します。
 三番目の不安である術後の痛みに関しては、以前から胸部より下の比較的大きな手術で,術後に痛みが予想される手術に関しては硬膜外麻酔という方法を用いて対処しています。これは背骨の中にある脊髄神経を包む硬膜の外側(硬膜外腔)に、細いチューブを挿入し持続的に薬液を注入して、創部からの痛みのシグナルが脳に伝わるのをブロックする方法です。これらに加えて、2005年より患者さんに痛みのコントロールに参加していただく患者調節鎮痛法を導入しており、これまでに1000例以上の患者さんが使用しています。これは痛みが出たときに患者さんご自身が器械のボタンを押すと、鎮痛剤が前述の硬膜外腔あるいは静脈より追加される方法です。押しすぎると怖いのではないかと思われるかたが多いのですが、投与量が多くならないように器械で調節されています。
 このように現在の麻酔は機器の進歩により安全かつ苦痛のないものとなっています。われわれ麻酔科医は手術の前に患者さんと充分な時間をとって、患者さんのご希望もふまえてより安心して手術が出来るよう、麻酔法の検討、説明を行っています。手術が予定されたときには、お気軽にご相談ください。

周術期管理

術前診察
  • ・手術前には患者さんにお会いし、麻酔に対するご質問、ご意見をいただき、診察の結果を含めて、患者さんに最も適切であると思われる麻酔法を提案します。

術中管理
  • ・手術中は患者さんに麻酔科医が1対1で対応し、安全に管理を行ないます。

術後管理
  • ・持続硬膜外麻酔などで、患者さんに適した方法の術後疼痛管理を行ないます。
  • ・PCA(patient controlled analgesia) と呼ばれる患者さん自身が参加していただく疼痛のコントロール方法も導入しています。
 

現在の臨床研究

現在麻酔科において,安全かつ効果的な麻酔を行うために臨床研究を行っています.研究は病院の倫理委員会に申請し,許可を得たものです.ただし患者様が研究の対象になっている場合,不参加を表明することができます.麻酔科までお申し出ください.

 

現在研究中の課題は以下です.

 1:人工膝関節置換術術後鎮痛に関する麻酔法の検討

 2:脳波モニターの有用性の検討

 3:薬物動態シミュレーションによる安全な麻酔法の検討

 

診療科詳細

診療内容 対象疾患名等 診療曜日
術前診察 手術を予定されている患者さん

外来診療

手術麻酔一般、重症患者管理、術後疼痛管理など。
手術数増加のため、2006年4月1日より、ペインクリニック外来は閉鎖しました。

医師

医師
(卒年)
専門領域・資格等
専門領域 学会/認定資格・その他
主任
部長

城山 和久

(昭和63年)

麻酔一般 【学会/認定資格】

・日本麻酔科学会/麻酔科専門医

・麻酔科標榜医

・日本麻酔科学会/麻酔科指導医

 

部長
難波 恒久
(昭和62年)
麻酔一般 【学会/認定資格】

・麻酔科標榜医

・日本麻酔科学会麻酔指導医


医師 河野 匡彦
(平成 2年)
救急医療

【学会/認定資格】
・日本救急医学会/救急科専門医

・麻酔科標榜医

【その他】

・日本医師会認定産業医

・日本DMAT登録隊員
・救急センター主任部長兼任

権 理奈
(平成 19年)
麻酔一般

【学会/認定資格】
・日本麻酔科学会/麻酔科専門医

・麻酔科標榜医

その他

・日本医師会認定産業医



施設認定

・日本麻酔科学会認定病院

症例・検査・手術実績

  2019年 2018年 2017年
全手術症例 麻酔科管理 麻酔科管理率 全手術症例 麻酔科管理 麻酔科管理率 全手術症例 麻酔科管理 麻酔科管理率
外科 375 308 82 521 394 75 561 396 71
眼科 324 1 0 316 3 0 356 1 0
歯科 23 23 100 44 44 100 29 28 97
耳鼻科 130 123 94 151 138 91 136 126 93
整形 1112 857 77 1055 822 77 989 766 77
脳神経外科 55 18 32 55 26 47 66 27 41
泌尿器科 183 177 96 264 255 96 282 269 95
皮膚科 205 6 2 185 22 11 185 12 6
循環器内科 0 0 0 0 0 0 1 0 0
麻酔科 2 2 100 1 1 100 0 6 100
合計 2409 1515 62 2592 1705 65 2611 1631 62
  2016年 2015年
全手術症例 麻酔科管理 麻酔科管理率 全手術症例 麻酔科管理 麻酔科管理率
外科 622 468 75 514 415 81
眼科 331 1 0 315 3 1
歯科 24 24 100 27 27 100
耳鼻科 139 125 90 157 144 92
整形 943 763 81 995 784 79
脳神経外科 92 33 36 65 27 42
泌尿器科 253 225 89 268 262 98
皮膚科 212 7 3 205 8 4
循環器内科 0 0 0 0 0 0
麻酔科 1 1 100 5 5 100
合計 2620 1647 63 251 1675 66