がん治療について

肺がんとは

肺がんは近年増加しており、がんで死亡する人を部位別にみると肺がんは男性では1位、女性でも2位となっています。肺がんの原因としては喫煙が重要ですが、最近は喫煙経験のない女性の肺がんも増加傾向にあります。喫煙者の中で喫煙指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が400以上(例:1日20本を20年間以上喫煙)の人は肺がん発症の危険性が高いです。今後高齢化が進むとさらに肺がんは増加することが予想されます。

肺がんの症状

肺がんの発生部位によってはかなり進行しても無症状のこともあります。
典型的な症状としては、咳嗽、喀痰(血痰)、呼吸困難、食欲不振、倦怠感、体重減少など様々です。しかし、これらの症状は肺がんに特異的なものではありません。これらの症状が長引く場合には肺がんの可能性を含め検査を受けることが大切です。

肺がんの検査

胸部レントゲン検査
検診などでも行われる最も行われる検査です。しかし、レントゲン検査では早期肺がんや部位によっては発見が困難な肺がんも多くあります。


図2

胸部CT検査
レントゲン検査より肺全体を調べることが出来るため、レントゲン検査や症状から肺がんなどが疑われた場合に行われることが多いです。


図3

PET検査
がんの進展の程度を調べるのに有用な検査です。


図4

気管支鏡検査
肺がんの確定診断には組織を採取し顕微鏡でがん細胞を証明することが重要です。肺がんにも様々なタイプがあり、タイプにより治療法が異なってくることもあります。また最近ではがん細胞の遺伝子を調べて薬を使い分ける個別化治療が主流となっています。気管支鏡検査以外にもCTガイド下肺生検や喀痰細胞診などでがん細胞を証明することもあります。


図5

腫瘍マーカー
体の中のがん細胞が多いと腫瘍マーカーが上昇することが多いです。しかし進行がんでも腫瘍マーカーが正常であったり、またがん以外でも腫瘍マーカーは上昇することがあるため、腫瘍マーカーはあくまで参考所見です。このため腫瘍マーカーで肺がんを診断することは出来ません。

肺がんの検査

肺がんの治療には手術療法、抗がん剤治療、放射線治療、緩和治療があります。
これらの治療選択は肺がんの進行具合(病期)により異なります。


図6

病期に重要なのは、がんの大きさ(腫瘍径)、リンパ節転移、他臓器への転移(遠隔転移)の3つの要素で決定されます。

手術療法
肺がんが大きくない場合やリンパ節転移があっても限局している場合など病期が早い人は手術療法の良い適応になります。

放射線療法
遠隔転移は来していないけれどリンパ節転移が進行している場合は抗がん剤治療と併用して放射線治療を行うことがあります。骨転移や脳転移などで痛みなどの症状がある場合には局所的な放射線治療を行うこともあります。また、手術が可能な病期であっても重篤な心疾患、肺疾患などで手術に耐えられない人などは手術療法の代わりに放射線治療を行うこともあります。

抗がん剤治療
抗がん剤治療には従来からの殺細胞性抗がん剤を用いた化学療法、がん細胞の生存・増殖に関わる部分を選択的に抑える分子標的治療薬、さらに最近は免疫療法も行われるようになっています。
殺細胞性抗がん剤の多くは点滴で行われます。患者さんの状態により1種類の抗がん剤のみ使用する場合もありますが、2〜3種類の抗がん剤を併用することもあります。
分子標的治療薬は現在EGFR遺伝子、ALK融合遺伝子など特定の遺伝子をがん細胞が有している場合に使用します。従来からの殺細胞性抗がん剤より高い効果が期待できます。
免疫療法については非小細胞がんに行われるようになりました。殺細胞性抗がん剤と比較して高い効果が期待されています。

緩和治療
肺がんに伴う痛み、呼吸困難、倦怠感、食欲不振、不安などの精神的苦痛などを和らげる治療です。緩和治療は末期の人のみに行うのではなく、手術・放射線・抗がん剤治療を受けている人も並行して行うことが望ましいです。